四百06 君たちは どう生きるか

1937年に出版され多くの人に読み継がれている歴史的名著。スタジオジブリで映画化された作品をご覧になった方も……。遅ればせながら2017年に発行された漫画を読んだ。

昭和12年は、日中戦争の発端ともなった盧溝橋事件の有った年。長い戦争に向かっていく、そんな時代に書かれた小説だが、その内容/精神性は  今に通ずるものがある。

ごく一部を転記させて頂きます。

貧乏な暮らしをしている人というものは、たいてい、自分の貧乏なことに、引け目を感じながら生きているものなんだよ。自分の着物のみすぼらしいこと、住んでいる家のむさ苦しいこと、毎日の食事の粗末なことに、ついはずかしさを感じやすいものなのだ。たとえちゃんとした自尊心をもっている人でも、貧乏な暮らしをしていれば、何かにつけて引け目を感じるというのは、免れがたい人情なんだ。だから、お互いに、そういう人々に余計なはずかしい思いをさせないように、平生、その慎みを忘れてはいけないのだ。

人間として、自尊心を傷つけられるほど厭な思いのすることはない。貧しい暮らしをしている人々は、その厭な思いを嘗めさせられることが多いのだから、傷つきやすい自尊心を心なく傷つけるようなことは、決してしてはいけない。  理屈を言えば、貧乏だからといって、何も引け目を感じなくてもいいはずだ。  人間の本当の値打ちは、その人の着物や住居や食物にあるわけじゃない。だから、自分の人間としての値打ちに本当の自信をもっている人だったら、境遇がちっとやそっとどうなっても、ちゃんと落ち着いて生きていられるはずなんだ。

僕たちも、たとえ貧しくともそのために自分をつまらない人間と考えたりしないように、   また、たとえ豊かな暮らしをしたからといってそれで自分を何か偉いもののように考えたりしないように、いつでも、自分の人間としての値打ちにしっかりと目をつけて生きてゆかなければいけない。

僕の関心ごとである「〇〇〇のひと」との接し方の心得と読み替えながら読んでいた。