三百27 それ、つらいよね

聞く技術 なにかあった?」と尋ねてみよう。 聞いてもらう技術「ちょっと聞いて」と言ってみよう。

書名とずれるのですが 下記の文節を抜き書きします。 

連鎖する孤独 不登校の子ども、孤立するシングルマザー、老いたホームレス。彼女彼らは、ポツンとひとりでいる。だけど、彼らは心の中では暴力的な声に脅かされている。「無価値だ」「気持ち悪い」。それはかって、学校や職場でいじめやハラスメントがあったかもしれない。 「お前は迷惑だ」という声が聞こえてくる。誰かが直接言ったわけじゃない。それは自己責任を問う私たちの社会そのものの声なのだ。すると、その人は他者を拒むようになり、孤立する。包摂性を失った競争的な社会は、人々の心に孤独をもたらす。その孤独が連鎖してその社会を壊していく。 

不登校の子ども。みんなが自分を馬鹿にしているし、学校に来ないほうがいいと思っている気がするから。過去にいじめや虐待のような大きなトラウマがあって、それが蘇っていることもある。家庭で、子どもの気持ちが無視され続けているということがしばしばある。ふと教師が漏らした苦笑の裏の意図が透けて見えてしまうことがある。その微細だけど、慢性的な傷つきが、心に深いクレーターをつくりあげる。 孤立しているひとがいるならば、誰かが声をかけてあげればいい。

孤立しているときに声をかけられると、「私をだまそうとしているにちがいない」と、支援者は味方になろうとしてのに、敵だと思われてしまいます。  

それ、つらいよね。人が人を理解することの根本は、専門家が専門知識を通じて理解するというようなものではなく、普通に生活しているなかで知人と「それ、つらいよね」と交わす気持ちのやりとりなのだと思います。「それ、つらいよね」と自然にやりとりできなくなったときには、専門知識の出番もあるでしょうが、基本は、「それ、つらいよね」です。

「時間をかける」しかありません。 信頼とは時間の経過によってしか形作られないもの。どんなに言葉を選んでも、不信感があるときには、相手は危険な人物にしか見えません。傷つけないように配慮した時間の積み重ねでしか、安心は生まれてきません。