二百94 止められなかった戦争

  

 

NHK ETV特集 昭和天皇が語る 開戦への道

『あの場合 若し戦争にならないようにすれば 内乱を起こした事になったかも知れず 兎に角負け惜しみをいふようだが 今回の戦争は ああ一部の者の意見が大勢を制して了った上は どうも避けられなかったのではなかったかしら 私は あの時 東條にハッキリ 英米両国と袂を分つといふ事は 実に忍びないといったのだから』(陛下が「豈アニ朕チンが志ならんや」と仰せになりましても 結局 詔書に書いてある理由で 宣戦を 陛下の御名ギョメイ御璽ギョジの詔書で仰せ出しになりましたこと故 表面的には陛下によって戦が宣せられたのでありますから 志でなければ戦を宣されなければ よいではないかといふ理屈になります 朕が志ならんやは 宣戦の詔ミコトナリにはきまり文句で 日清日露のときにもあります故 これは陛下の御真意に背いて不得己ヤムヲエズ出すのだとは 考えませぬが普通で、、)『ソーか、、、』〔ギリギリで戦争に勝った日露戦争 歴史を忘れて満州事変以降10年間突き進んだ〕(世の中の事は理屈で平静に考へますれば 問題のありませぬ事も 其場ソノバに臨み その空気 勢といふものに支配されますと 随分人間は愚かなものでありますので いく所までいかなければ目がさめぬものかと 感じまする)『そうだ 戦争の場合も同様で 私など 戦争を止めようと思っても どうしても勢に引づらて了った』(ハイ 矢張り 芽生えの時に勢を押へませんければ 勢が勢を作って 人力ではどうにも参らなくなります 陛下の仰せのやうに 戦争の事を遡りますれば 昭和三年の張作霖事件の時に 河本大作を処分しなかった事に帰しまするので 勢といふものは実に恐ろしいものであります)『そうだ 結局勢といふもので 戦争はしてはいかぬと思ひながら ああいふ事になった』

勢イキオイで始まった戦争。 止められなかった戦争。 勢 世間の責任 。 今 一人が始めた戦争が。。