百47. いのちの停車場 その3

死のレクチャー(死のプロセスの説明):ひとは 生命活動を終えようとするとき、胃腸の動きが止まっていき~蠕動(ぜんどう)運動が低下~食べなくなる。 亡くなる1~2週間前から ➀だんだん眠っている時間が長くなる ➁譫妄(せんもう)~夢と現実を行き来するようになり 幻覚やうわごとを発する。 最後の日 呼吸が乱れ危篤状態になる。8時間位前から下顎(かがく)呼吸~口をパクパクとあえぐような呼吸になる。脳の酸素不足から起きる状態で、ハアハアと苦しそうに見えるが、本人は苦痛を感じてない。

死亡曲線(死亡までの時間 / 症状の進行):➀老衰 虚弱の状態を経て非常にゆっくりと死が進行していく。 ➁重度の脳梗塞脳出血 発症直後から数時間内に死亡する。 心不全 急変と回復を繰り返しながらも徐々に状態が悪化、最後の急変で落命する。 ④癌 末期ステージ4でも元気な状態が比較的長く続くが、ある時を境に週単位で状態が悪化する。

癌悪液室(がんあくえきしつ):何らかの原因疾患によって体内でたんぱく質が合成できず、逆に筋肉内のたんぱく質が破壊されることで栄養不良状態が生じ衰弱した状態。体重減少や全身の脂肪筋肉の消耗が徐々に進む。著しく瘠せ細り、皮膚が灰黄色になり、こめかみ部分の筋肉が瘠せて顔つきが変わる

脳卒中後疼痛と言う感覚障害:疼痛には二種類ある ①感覚過敏:小さな刺激を強い痛みと感じる(シャープペンシルで皮膚をつついても激痛と感じる)➁異痛症(アロデイニア):軽く触れられただけでも激痛が走る(布団や衣類がそっと触れるだけでも痛む)。 脳梗塞に伴う疼痛は2~3日続くこともあり、その痛みは何十倍も大きく激しい。 脳梗塞患者の1~3割に出現し、その原因が脳に有るため、治療法は無い。モルヒネなどで脳の機能全体を落としてしまうか、外科的に脳の感覚中枢を壊してしまう方法があるが、それでも完全に痛みを無くすことは出来ない。 肌に触れる風呂の湯でも痛みを感じ、入浴できない。髪を櫛で梳いても激痛になる場合がある。 介護者は何をしてあげればいいか分からず途方にくれる。運動麻痺とは違い、痛みの症状は他人には分かりづらい。そのため周囲の理解が得られず、脳卒中後疼痛を患う患者の多くは「死にたい」と言う。 

安楽死には二種類ある:➀延命治療の停止によって患者を自然な形で死に導く消極的な安楽死、いわゆる尊厳死。 ➁医師などの「第三者」が致死薬を投与して死期を早める積極的な安楽死(オランダやベルギーでは合法化されている)。

積極的安楽死を是認しうる六つの要件(1962年名古屋高等裁判所):①患者が不治の病で死期が迫っていること ➁耐えがたい苦痛があること ➂もっぱら患者の苦痛を緩和する目的であること ④本人の真摯な嘱託・承諾があること ⑤原則として医師の手によること ⑥その方法が倫理的に妥当であること