71. 誤作動する脳

【早期発見は無理】 「誤作動する脳」 樋口直美 医学書

認知症認知症医療について学ぶほどに知ったのは、「脳のことでわかっていることは本当に少ない」ということです。医療に担えることは限られているということです。いまだに原因もわからず、治す薬もなく、確実な予防法もない病気なのです。加えて個人差が大きく、診断名が同じでも人によって病状が大きく違い、薬の効き方も副作用の出方も進行の仕方も一人ひとり違います。人間関係など環境の影響が非常に大きく、環境だけで症状が大きく改善したり悪化したりします。これからどんな症状が出て、どう進行していくかなど、誰にもわからないのです。しかし患者側からはそうは見えません。認知症が病気なら、問題を解決する責任者は医師だと思ってしまいます。高齢化に伴って増える高齢者の認知症は、老化との線引きすらできない曖昧模糊としたグラデーションの世界です。しかし、多くの人が、画像検査で簡単に白黒がつき、薬さえ飲めば進行を抑えられると誤解しています。「早期発見・早期診断が大事」と言われ続けてますが、早期であればあるほど症状は目立たず、種類は出そろわず、画像にも認知機能検査の数値にも表れにくく、診断は困難という現実を患者や家族は知りません。受診が早ければ早いほど早期発見はされず、後々不満を口にする人が多くなっています。ならば「早期に正しく診断することなど無理です」と宣言してはどうでしょう。それが常識になれば、患者も家族も医師ももっと楽になり、害も減るのにと思います。「最初から正しい診断にたどりつけなくて当たり前」「膨大かつ日々更新されていく数多い病気と治療の知識を、一人の医師が網羅するなど不可能」「薬は使ってみなければ、その人に合う薬も、合う量も、どんな効果や予期せぬ副作用が出るのかも予測がつかない」 患者や家族はこれらを肝に銘じ、「じゃあ、どうすれば害を最小にし、益がより大きい医療に一歩でも近づけるか。そのために自分に何ができるのか」と考えていくほうが現実的だと私は思っています。

レビー小体型認知症と診断された樋口直美さんが書かれた本の一部を書き写しました。僕も同じような考えを持っています。が、「 」内のようなことを医師が言ったとしたら 医師の開き直り 責任放棄ともとらえられ 患者はどうしたらいいのかと路頭に迷う 「そのために自分に何ができるのか」と考えることも難しいのではないかと思います。 

僕は   寄り添うことしか   できない。 (今は それすら できてない)